レクチャー概要(2011年度)

◎レクチャーのねらい


この公開レクチャー「環境と、なにか2011」は、環境科学や環境活動に関わりの深い異分野(社会起業、地域活性化、メディア、デザイン…など)の知見を導入し、異分野の人々との連携や協働による実践の可能性や課題について議論するこころみです。

この議論の場を通して、多様な人々・組織からなる環境活動を自ら立案し、真に社会の中で有効に機能させていくために不可欠な、異分野の発想や方法を総合的に理解し、将来の実践につながる「姿勢」や「構え」を形成するための知識と視点を獲得できるようにするのがねらいです。

各回ごとに多彩な学外のゲスト講師を招き、様々な分野の実践実例やその背後にある手法、発想の源泉について、受講者を巻き込んだ対話型の講義により進行します。特に議論の焦点とするテーマは、「関係性」。人間と人間、あるいは人間とモノ、地域、情報…など、多様な関係のもとで、文字通り「環境」(人と取り巻くものすべて)をめぐる関係性を組み換え、よりよい社会を構築する可能性について考えていきます。

北海道大学や他大学の学生だけでなく、一般社会人にも開放した公開形式で実施するため、異なる世代や分野の人々との対話を通して刺激や触発が得られることも大きな特色です。


◎開講日時:2011年5月19日〜2012年1月19日(8月を除く毎月1回、第3木曜日)18:30〜20:00
◎会場:北海道大学 大学院環境科学院 D201大講義室(札幌市北区北10条西5丁目)
◎対象:学生および社会人
◎申し込み:次のリンク先のフォームよりお申し込みください
 →https://ssl.form-mailer.jp/fms/1eef54dc146796


◎各回のゲストとテーマ


1回:「地球を考える人」を育てるために(519日)
上田壮一(スペースポート取締役社長/Think the Earthプロジェクト プロデューサー)

講義概要:Think the Earthプロジェクトは、持続可能な社会実現のために、環境問題や社会問題への無関心を減らし、地球的視野で考え行動するきっかけ作りを、多様なアプローチで行なっています。講義では具体的な活動内容を紹介しながら、プロジェクトを実現するためのスキルやマインドについて触れます。とりわけ、好奇心や学習意欲に着目したプレ・エデュケーションという考え方について一緒に考えていきたいと思っています。
プロフィール:1965年、兵庫県生まれ。2000年にソーシャルクリエイティブの拠点として株式会社スペースポートを設立。2001年に「Think the Earth プロジェクト」を設立し、コミュニケーションを通じて環境や社会について考え、行動する「きっかけづくり」を続けている。主な仕事に、地球時計wn-1、携帯アプリ「live earth」、写真集『百年の愚行』、書籍 1秒の世界』、プラネタリウム映像「いきものがたり」などがある。2011年に10周年イベント『EARTHLING 2011』を開催予定。

2回:環境と経済をつなぐお金の仕組み(616日)
筑紫みずえ(株式会社グッドバンカー代表取締役社長)

講義概要:商品を買う、投資をする――これらの経済活動を通じても社会をよりよい方向に変えていくことはできる(はず)。それを具体的に示したのが日本初のSRI(社会的責任投資)商品を生み出した筑紫みずえさん。講義では、エコファンドなどSRIの考え方や具体例、さらにはご自身で起業した経緯などについても語っていただきながら、金融や経済と環境をつなぐ視点の重要性について、ディスカッションしていきます。
プロフィール:1999年日本初のSRI型金融商品「エコファンド」を企画。金融商品初のグッドデザイン賞を受賞。2004年開発の「ファミリー・フレンドリーファンド」においてもグッドデザイン賞、およびワークライフバランス大賞優秀賞受賞。20059月、「男女共同参画社会功労者」として内閣総理大臣表彰を受ける。環境省・中央環境審議会委員、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)運営委員など、公職多数。

3回:ランドスケープ(景観)から見た環境と地域(721日)
尾内志帆(雑誌『ランドスケープデザイン』副編集長)

講義概要:メディアづくりから始めるランドスケープデザイン??隔月刊『ランドスケープデザイン』誌の編集に関わって6年。雑誌編集を通して見聞きした「ランドスケープデザイン」の世界についてお話します。また、最近は「一人から始めるランドスケープデザイン」術を発見しました。専門知識や技術がなくても、植物を育てることが苦手な人でも、明日から「ランドスケープをデザイン」できる。そんなことを皆さんとお話できたらと思っています。
プロフィール:1983年群馬県生まれ。2002年武蔵野美術大学建築学科入学。2003年から新潟市岩室にて、まちづくりイベント「アートサイト岩室温泉」に参画。建築設計を追求するよりも、人とリアルに関われるまちづくりやイベントの企画運営に興味を持つ。大学卒業後マルモ出版に入社。2008年よりランドスケープデザイン誌副編集長。

4回:会議のデザイン、対話のデザイン(915日)
青木将幸(ファシリテーター/青木将幸ファシリテーション事務所代表)


5回:これからの社会と企業と広告1013日→※1020日から変更となりました)
永井一史(博報堂『広告』編集長)
中野民夫(博報堂/ワークショップ・プロデューサー)


6回:復興へのリデザイン(1117日)
本江正茂(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻/せんだいスクール・オブ・デザイン校長)


7回:「ファブラボ」がもたらす新たな自給自足社会(1215日)
田中浩也(慶應義塾大学環境情報学部 准教授/マサチューセッツ工科大学[MIT] 客員研究員)


8回:ウェブ上の集合知を活かした環境コミュニケーションの可能性(119日)
江渡浩一郎(産業技術総合研究所社会知能技術研究ラボ 研究員)